イッシュ地方に棲息しているポケットモンスター(以下, ポケモン)は, カントー, ジョウト並びにその他の諸地域と比較して, 全体的に無機的な "モティーフ" を持ったポケモンが多い. 旧来から指摘されていたことの一つに, 人間によってポケモンが生み出された可能性があるのではないだろうかということがある. もしそれが事実であるならば, 次に疑問視すべきは, 元々自然界にはないものを古人たちは創り出したのであって, その新しい創造物をどのようにしてこの世界へ秩序づけたのか, である. 現在のポケモンの安定した繁栄ぶりを鑑みるかぎり, 強いて言えばあまりにも自然と調和しすぎているとも考えられないだろうか. そこで我々研究チームは, イッシュ地方の伝説に登場する, いわゆる「伝説ポケモン」が何らかの能力を発揮して, イッシュ地方のポケモンの安寧を図っていると仮定して, これまで伝説ポケモンについての研究を推し進めてきた.
さて, 本題を簡潔に言うと, レシラム, ゼクロムの両者は人間であった可能性が指摘できるということを実証するため, 我々は某氏の協力を得て, 遂にレシラムの首輪, 尻尾の輪, 及び翼の爪手の甲の金属様のものを入手することができた. 我々はただちに被験者を募り, 選ばれたある一人の少年にそれらを装着させ, 経過を見た. その経過は以下の通りである.
輪の周辺から白色の毛が生え始め, 首が見る見る内に伸張していった. 手は, 小指の付け根の関節の曲がる方向が横側に変わり, 白い羽毛の発現を伴いながら伸びていき, 残りの四本の指は短くなると同時に鋭利で太く大きな鉤爪が生えた. 臀部の上に軽く乗せておいていたレシラムの尻尾の輪の付近では, これまた白毛を纏いながら尾骨のあたりが特によく盛り上がり, 瞬く間に輪をくぐってそれが引っ掛かるように変形したことが確認できたため, 我々はリモートコントロールによって, 尻尾部の輪の被験者への外部的装置による密着を解除した. 被験者は片膝を地面についてややくぐまっていたが, 白色の毛の発現は輪の周辺や手の周辺だけにとどまらず, 身体全体に広がっていき, 頭部の変形, 特徴的な尻尾の発現, 脚部の骨格の変化が一気に起こっていった. 両腕は大きな翼と化し, 伸びた頭と尻尾の先からは風になびかんとする長大な毛の塊が形成され, 最終的に被験者の外見は完全にレシラムのものとなり, 後に内部の検査をしてみたところ, 通常の人間の器官と同型の器官は見られなかった.
尚, サンプル元のレシラムから首輪のもろもろを外し, また, レシラムに完全に変身して安定定常状態となった被験者からそれを外して, 一週間経過を見たところ, 人間に戻ることはなかった. 以上の試験結果から, レシラムの装備品とその存在そのものは, ポケモン世界の統率を図るために旧人が造ったものであるという仮説に対し, 科学的に立証し得るものであることを示すことができたと我々は考えている.
以上.